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「…毎回ホンマによぅやりますなァ」
「あれが兄の娯楽ならば、咎める事も無いだろう」
そんな京楽を後目に、遊女の相手をそこそこ互いに酒を酌み交すのは、三番隊隊長市丸 ギンと六番隊隊長朽木 白哉の二人。
市丸に至っては此処も常連の様だが、朽木は京楽に誘われて社交辞令の一貫で付き合っている形になる。
「…兄は良く来ていると聞くが、随分と大人しいのだな」
「僕、そないな感じに見えます?…所詮遊郭やし、軽く気休めに来るくらいや」
常連とは聞きつつ、大して遊女に手を着ける気も無さげな市丸に、朽木は物珍しいと言った視線を向ける。
「…此処は、偽物の愛情しかないねん。僕はそないな愛なんていらへんし」
朽木にすら聞き取り辛い程か細い声で市丸は呟く。
横に座る遊女を軽く撫でながらも、その表情には何処か憐憫の憂いすら感じられた。
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