†霹靂ノ華-壱ノ咎-

5/7
前へ
/18ページ
次へ
「――い、おい、どうかしたか?」 「…あぁ、すいません。ちょっと考え事しとったから。少し酔うたみたいやし、頭冷やして来ますわ」 朽木の心配を他所に、暫し真一文字になっていた口元もへらりと何時も通りの弧を描き、市丸はゆっくりと腰を上げてその場を後にした。 「……今年で五年やったね…」 部屋を後にし、静寂が包む離れの一角に腰を降ろす。 月光が差し込む其処は、市丸自身の気に入りの場所であり、唯一落ち着ける所でもある。 「―――…そろそろ出て来たらどうなん?」 「あっ…ごめんなさい…お話を聞くつもりは…」 暫く黙っていた市丸が向かいの一室に視線を流すと、おずおずと小さな少女が姿を現した。 .
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

121人が本棚に入れています
本棚に追加