黄昏を臨む丘

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「お前が怒るのも、もっともだと思う。だからオレが理由を説明して、父上に罪を軽くしてくれるよう説得する。だから――」 「あいつがそれで許すはずがないだろう。それに、さっき宴の席であれだけ暴言を吐いたんだ。他の神も僕を許さないよ。君は本当に馬鹿だ」 「ああ、馬鹿だよ!だからオレには頭の切れるお前が必要なんだよ!馬鹿だって言ってくれる奴が必要なんだよ!!」  二人の間に長い沈黙が下りた。どちらもピクリとも動かず、張り詰めた空気は緩める気配を見せない。 「トール、君は本当に馬鹿だな」 根負けしたのはロキの方だった。彼は唇の端を吊り上げて笑みの形を作った。 「君、もしかしなくても君の相鎚(ミョルニル)を置いてきたのかい?」 ロキが彼の腰元を見て言った。トールはそれに応えて服の裾を捲って帯を見せた。ミョルニルを扱うには専用の籠手と帯が必要なのだが、トールはそれも持っていない。 「親友とサシで話し合おうって時に、武器なんて邪魔なだけだって言ってたのはお前だろう、ロキ」 「君は、僕を捕まえてこいと命令されているんだろう?」  その言葉に、トールはぎくりと体を硬直させた。ロキはそれを見ると、ふっと口元を綻ばせた。
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