黄昏を臨む丘

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「どうしてと訊きたいのは僕の方だ。 どうしてヘルを地獄へと追いやった? どうしてヨルムンガンドを海に捨てた? どうしてフェンリルを鎖で繋いだ? どうして……どうして僕に一度も子どもたちと会わせてはくれなかったんだ!」  ロキは今まで誰にも見せたことがないような激しさで一気にまくし立てた。その表情には笑顔が張り付いていたが、今にも泣き出してしまいそうに見えた。  トールは始めてみる親友の姿に言葉を失くした。言い返す余地などある訳がない。それらはすべて事実であり、その最終決定を下したのはトールの父なのだから。 「家族と暮らしたいという願いが、そんなにいけないことなのか?確かにアングルボダは巨人族だ。神々の国(アースガルズ)に入れてもらえないのは仕方ないと、分かっていたよ。けど僕は望んでここに来た訳じゃない。すべてはオーディンが……君の父上が望んだことだ! 彼女と別れるのは辛かった。でもだからこそ、彼女に子どもが出来たことが嬉しかった。ああもうこれで、アングルボダは寂しくない。独りじゃない。そう思った。なのにっ……!!」 「ロキ……けれどそれは――」 「仕方のないことだったとでも言いたいのかい?」
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