第一章【不滅ノ薬】

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大学を出て、家に帰ると、そのまま自室へ向かい、鍵をかけた。 最近はいつもこうしている。 自分の時間を邪魔されたくないのだ。 それが例え家族でも。   いつからだろう、そんな風に考え始めたのは。 英介はとくに家庭に事情があるわけではない。 父親はサラリーマンであるが、営業部の部長であり、収入もそこそこある。   父親と母親が仲が悪いということもなく、離婚などはありえないだろう。 だが英介には気にくわなかった。 何が気にくわないのか具体的なものはなく、ただ一緒にいると苛々してくる。
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