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月曜日
体調もよくなりルキは学校に来ていた。
そしていつものように鵺の姿を目で探す。
ずっと窓の外を見つめている鵺………
良かった。
ルキは安心したように笑った。
「爽華………なに笑ってるの?思いだし笑いはエッチな証拠だよぉ」
友達の夏水が背をつつく………
「エッチなのは夏水のほうじゃん」
売り言葉に買い言葉である
「っでなに見てたの?」
黙りこむルキに続ける
「はは~ん………恋する乙女だ………」
グランドでは、野球やサッカーをしている少年が沢山いる。
夏水は勘違いしたようだ。
「っで誰?草花先輩?それとも章君?教えなさいよぉ~」
答えないでいると、夏水はチャチャを入れてくる。
「あ~結城君だ~」
決めつけるように夏水は言った。
どの人の名も有名でモテモテな男の名前ばかりだ。
自分は………一人の名前しか出てこなかった。
それも相手は同性…………急に叶わないと気付き苦しくなった。
そして一筋の涙が流れた。
「爽華………どうしたの?」
心配して顔を覗き混んでくる夏水から逃げるように首をふる。
「ちょっと気分悪くて………ごめん」
「保健室いく?ついてこうか」
「大丈夫…一人で平気…」
声は震えていた。
「無理したら駄目だよ」
心配そうな夏水を残し保健室に向かった。
「失礼します」
白い部屋に薬の匂いが漂う独特な場所、先生が、やれやれというように、やる気のない表情でこちらをみる。
「どうしたの?」
「少し気分が悪くて………」
そう言うと、おきまりのように体温計を渡された。
「ここ座って、測って」
ルキは、素直に熱を計る。
暫くしてピピッと体温計がなる。
先生は体温計に目を落とした。
「37.5℃おめでとう、君は病気だ」
そう言って先生は嬉しそうに笑ってみせた。
「はい、ベッドに行こうね」
いきなり優しくなった口調に、何だか不信感を覚える。
「何、鳩が豆食らったような顔をしてるんだい?早くベッドに横になって安静にしていなくてはならないいいね?」
有無を言わせないというように手をひかれ、ベッドに誘導される。
優しさの中に断ったら許さないという鋭い視線があった。
ベッドはいくつかあったけれど、どれも空いている。
「今から、先生は授業に行かなくてはいけないんだ、病人を残してここを離れるのは心許ないんだけどね」
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