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近くまで来てしまったのはいいが、何を話せばいいのか……
……足を止めてみたものの、会話が見付からない………
気配に気が付いたのか鵺がルキの方へ顔を向けた。
「あっ………」
振り向いたその顔があまりにも綺麗でルキは言葉を飲んだ。
遠くで見ていた時の何倍も美しい……
「何か、私に用でも?……」
低い声に次の言葉が見付からない………
「あっ……あ……」
ルキはただうつ向くことしかできなかった…………
「雨凄いね……」
鵺のほうが痺をきらしたかのように、言葉を告げた。
………ルキは何故か泣き出したい気分にかられた。
…………
………
無言のままただ時間だけが流れた………
「傘ある?」
………
鵺が再び声をかけてくれた……ルキは小さく首を振った………
今朝晴れていた為、ルキは傘を持ってきていなかった
「帰ろうか……もう暗くなる……」
…………
「送るよ………」
そっと手を握られルキは、真っ赤になって頷いた。
冷たい大きな手、ルキは顔をあげることができなかった。
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