黒の門をくぐって.3 恋夢ちゃん

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   夕焼け。  椣原駅で降り立った仕事帰りのサラリーマンやら、部活帰りの高校生やらが、各々の帰り道へと向かっていく。ホームに残る人はまばらとなり、私たちも駅を出ることにする。   「灯っち……、ここで降りて良かったの??」 「うん、恋夢ちゃんの幸せそうに眠ってる顔を見てたら何かいろいろどうでも良くなっちゃった。恋夢ちゃんすぐに寝ちゃったから、あまり話せなかったしね。だから恋夢ちゃんの家に着くまで話したいなぁって」 「いやいやそんなっ、」  恋夢ちゃん、手を前にふりふり、 「じゃあせっかくだから、うん、一緒に帰ろう」    2人の影が先程よりも長く伸びていた。
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