赤色 ーあかいろー

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   お母さんはぼくの話に時折相槌をうち、時には笑いながらキャベツを手際よく刻んでいる。揚げ物の音と包丁がまな板を叩くとんとんとんという音が、心地よい音楽となってぼくの心に響く。   「痛っ!!」      突然、その声と同時に包丁の音が止まる。どうやらお母さん、人差し指を切ってしまったみたい。 「お母さん大丈夫?」 「大丈夫。ちょっと痛いけど」  そう言ってお母さんは、怪我をした指を舐めた。  
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