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「なあに、少しお前の噂話をしていただけだ。こっちにこいよ、分け前がある」 オレは手招きをしてアーレスに同席を求めるが、奴はさらに険しい顔で、隣のエレナを横目で睨み付ける。 「断る」 断固とした口調でアーレスはオレ達から背を向け、グラスの酒を一飲みして、手に取ったボトルの中身を荒々しく注いだ。そしてまた勢いよく飲み干す。 貴様の喉は鋼鉄製か?  どう見たって40はある酒だぞ? 「機嫌が悪いみたいね」 「なぜかはオレもしらんがな」 肩を狭めてオレは冷めかけたコーヒーを一口飲んだ。 「ところでエレナ、教会でオレ達を襲ってきたあのテロリスト集団についてなんだが・・・」 言いながらオレはチラリっと入口のドアを見た。 アーレスもそれを感じたようで椅子からスッと立ち上がる。オレは言葉を続ける。 「本当にあれで全部なのか?」  刹那 扉が激しく開き、何者かが飛び込んでくる。オレは椅子を蹴飛ばしながら素早く脇に置いていた剣の柄を握りしめ抜刀する。エレナは風を乱さぬ動きで椅子から立ち上がり隣りに並んでくる。 初めに飛び込んできたのは、長剣を横に構えた男。それに続いて小剣を握った数人の男達。 オレは飛びかかってきた男の肩口へと剣を振り下ろした。が、その瞬時の出来事だ。寸での所で左から来たとてつもない質量を持った小さいが巨大な衝撃に男の頭が内部から弾けるように飛び散り、時間差で続いた数回の衝撃に身を躍らせ、右側へ吹き飛ばされる。的が外れたオレの剣線は虚しく空を切り、代わりに飛 び散った血がオレの全身に降り注ぐ。血生臭さが鼻をつんと刺激する。 あとから来た男達も忍び寄る見えない衝撃にことごとく細切れにされる。
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