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ほんの数瞬で敵は全て屍と化し、あまりにあっけなさすぎてオレは唖然として、ぽかんとしていた。 しんっ、と静まり返ったカフェの中に擦れる金属音が響く。その音を聞いてやっと我に返ったオレは、衝撃がやってきた方向、その音がしたカウンターに目を向けた。 そこには、何とも気怠そうにオートマチック式の銃にマガジンを再装填しているアーレスが立っていた。銃口からは硝煙が立ち上っている。 敵はそこにいたアーレスに気づいていなかったようである。位置的に見ても一番に目につくのはオレ達だ。それが、奴らの虚しい敗因だ。あれではアーレスからしてみれば打ってくれと言っているようなものだ。 しかし、一瞬の出来事で呆気にとられていたのはオレだけではなかった。肉が飛び散り床に滴る大量の血と匂いを吸ったカフェの客達が行動を起こした。 まあ、パニックというヤツだな 出口に殺到する者、窓に張り付く者、一瞬でカフェの中は騒乱の渦に包まれた。 「で、さっきの続きなんだが・・・・」 オレはその場で始終を見ながらいたって普通に言った。隣にいるエレナも冷たい瞳で様子を見ている。そしてオレの質問に、 「割り増しは、価格応段にするわ」 必要最低限の言葉を告げる。 つまり、まだ仕事は終わってないってことか・・・・・・ ため息をついてオレは剣を鞘に収める。 「スーツのクリーニング代はほしいものだな」 「何をふざけたことを言っている」 アーレスは険しい顔つきでしきりに外を気にしていた。 「警備隊がすぐにくるぞ、いちいち相手にするほど暇じゃない。さっさと行くぞ」 「この姿でうろつけってのか?」 オレはアーレスのせいで返り血を浴びたスーツの襟を持った。
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