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そのアーレスは怒りの捌け口を足止めされて、ちっ、と舌打ちをしながら自席に着く。
「エレナ、オレも一つ聞きたいことがある」
憮然とした顔でそっぽを向いているアーレスを気にしつつオレは、エレナに問いかける。
「本陣があそこだったのかというのはこの際どうでもいい。すでに終わったことだ。だが、あの時お前はどこにいた?」
「それも終わったことじゃないかしら?」
オレは首を横に振る。
「いいや、終わっちゃいない。あの時は聞かなかったが、色々考えてる内にどうも納得がいかなくなったんだ。答えてもらうぞエレナ」
「まず、あなたはどんなことを思っているの?」
問い返されたオレは、エレナの傍らでどんよりと殺気を放つアーレスのために、はっきりと確信を問いただす。
「誰かを捜してるんじゃないのか?」
「それで?」
しかし、エレナの表所は何一つ変化なく、さらりと言った。
この態度に、少なからずオレの心に動揺が走る。かなりの自信があったのだが、無表情のエレナの顔を見て、そのことに自信ががもてなくなったからだ。
これは素知らぬフリをしているだけなのか、それとも違うのか・・・・・
外面からも内面からも全てを隠すエレナの真意は、一体何を考え、思っているのだけろうか。
「言いたいことはそれだけ?」
「ああ、それだけだ」
返答に困惑するオレは曖昧に頷いただけだった。一方のアーレスはそのオレを一瞥すると、フンッと鼻で笑って素知らぬ方向へ向く。
ぷつりと三人の会話が途絶えた。間の悪いオレはどうしたものかと、思考を巡らせて眉間にしわがよる。するとそこへ、失笑を噴くんだ女性の声が掛けられる。
「友達は大切にするのもよ、それに全て自分一人でやろうとするクセは辞めなさい」
オレ達は一斉に声のした方を向いた。
オレは思わず息を呑んだ。整った顔は美人よりも綺麗だ。そしてモデルのようなすらりとした身体をした若い女性だった。袖無しのセーターにスボンとラフな恰好だが、ブロンドに輝くロングヘアをオールバックにまとめあげ、ダークグリーンの鋭い視線を持つ彼女の姿は、勇ましいと言う言葉があっていた。
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