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「友達ならですけど」
その彼女に、ぼそりと呟いたのはエレナだった。今度はエレナに視線が向く。
それは、こいつを知っているのかという詮索だ。
「わたしはヘレンズ、ゼネラル・リソースの現社長、と言えばおわかりですか?」
害のない笑みを浮かべてヘレンズは言った。オレは彼女を上から下まで見つめながら、ひゅう、と口を鳴らした。
歳はオレ達と大差はないだろう。それが大会社の社長とは恐れ入る。しかもそれは女性だ。そしてエレナの上司というおまけ付きだ。
「相席よろしいかしら?」
威圧感のある恰好とは裏腹に、透き通るような美声でヘレンズはオレに視線を合わせる。
「べつに断る理由はないわな」
「じゃあご一緒させてもらうわ」
ヘレンズは頷いてオレの隣りの椅子へ腰を下ろす。それからそばを通っていたウエイターに紅茶を注文し、オレ達を順番に好奇の眼差しで見てくる。この時オレは、注文を受けたウエイターが少し辟易していたことが気になり、ちらりとまわりに視線を向けた。瞬間嫌な光景を見る。
周りの客達はほぼ全員オレ達に向けられていた。ふとオレが向けた視線に目が合いそうになった客は慌てて視線をそらし素知らぬフリをする。
なぜだ?
と不思議に思って再びアーレス達に目を向ける。
なるほどな・・・・・
すぐにその答えは分かった。
見慣れていたから気にもならなかったが、完全にオレ達のテーブルだけが違う空間になって一際目立っていたのだ。それもそうだ。全身黒ずくめの男に、オールバックの金髪美女。その隣には冷徹の女が座っていてかく言うオレもグラサンを掛けていれば目立たないわけがない。これじゃあまるでマヒィアの会合だ。
はたしてこのことに気づいているのはアーレスか、エレナか・・・・それともヘレンズの社長か・・・
もしかするとその概念すらもなかったりしてな
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