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「不審要素があっては仕事に差し支えるものね。お教えします。私達は今、テロリスト・・・つまりある伯爵家に雇われた傭兵に囚われた女性を捜しているのです」
「ややこしい設定だな」
面白くなさそうにアーレスは愚痴をこぼす。
かくいうオレ自身も、そのややこしい事情を整理するために言葉にだして言った。
「つまりその囚われた奴をあんたらは捜しているわけだな」
「そう、テロリスト集団の駆除というのは嘘です。真実はその女性を助けるために、奴らの巣くっている教会や施設を探し当てることにあるのです」
なるほど。一応スジは通っているわな
オレは頷いて言った。
「じゃあ、オレ達が駆除した教会にその女性はいなかったわけだ」
ヘレンズは首を横に振る。
「残念ながら」
「だったら順番に探っていればその女の命が危ういんじゃないのか?」
横で聞いていたアーレスが、オレも感じていたことを口にする。
「その点は御安心を、彼らは彼女が生きていなければなりませんし、傷ひとつ付けられない理由がありますから」
「だからわたしはあそこを襲撃して敵に揺さぶりをかけて動きを待っていたのよ」
この時エレナが囁くような小さな声で呟いた。オレ達はふいにこぼしたエレナの愚痴にぎょっとして一斉に視線が彼女に集中する。
おいおい、エレナが愚痴をこぼしたぞ。めずらしい
まあ、その行為自体人間としては当然なのだが、絶対に心の内を語ることをしないエレナが口にすると、やはり驚いてしまう。
いや、実際はエレナも普通の女ってことなのか?
・・・・・・・・・。
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