4人が本棚に入れています
本棚に追加
「ビックリさせるなよ」
オレは緊張の糸を緩めて抜きはなっていた剣を鞘に収めた。隣にいるアーレスも銃を懐にしまっているが、やはり彼女が気に入らないのか腑に落ちない顔をしていた。エレナはそのアーレスに気づいて、
「どうしたの?」
わざとらしく言った。アーレスはカチンときて眉間に力が入る。
また、始まるか・・・・・
オレはやるせなさにため息をついて顔を横に振った。それを尻目にアーレスが口火を切る。
「てめえ、ワザとそんな現れ方したろ?」
「どうしてそう思うのかしら?」
心外ね、と言わんばかりのエレナの口調にアーレスは、
「そういう女だからだ」
と、理解に苦しいことを言う。
さて、どこでまったをかけるか・・・・・・・・
「あなたが過敏すぎるだけじゃないの?」
小馬鹿にして鼻で笑うエレナ。一方馬鹿にされたアーレスは憤激をたたえエレナを睨め付ける。
「いちいち感に触るやつだな」
「あなたは単純だもの」
そう言って、冷徹の微笑を浮かべる。それは普通の人間なら呑まれてしまいそうな程の威圧感を帯びている。もちろん普通の人間ではないアーレスはそれに臆するはずもなく、激昂の表情で懐から銃を抜き放ちエレナにポイントする。
「いいだろう、その言葉、実力で否定してやる」
「そこらへんで打ち止めだ」
オレはため息混じりに二人の間に割って入った。
怒りと殺意を噴くんだ視線がオレの身体をちりちりと刺激する。お互いに言いたいことは分かる。
邪魔をするな、とでも訴えているんだろう。
だがオレは二人を交互に見据えて、
「二人とも些細なことでいちいち喧嘩して疲れないのか? どっちか大人になってくれ」
「余計なお世話だ」
アーレスは苦々しい表情で呟き、一人だけ先に立ち去って行く。
「まったく」
オレは懐から取り出したしわくちゃのタバコに火をつけると、深々と煙を吸い込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!