暴君咆哮

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 心の準備をする暇さえもなく、ドアが開き出す。重い金属の壁がスライドしていくと、強烈な照明の光が差し込んできた。 「みんな、油断するな!」  フィリップは兵士たちに警戒を促した。  直後、スカイプレデターの兵士たちが、身構えて再び戦闘態勢に入る。  ドアが開き切ると、フィリップを先頭にして、サブマシンガンを携えた兵士たちがゆっくりとエレベーターから歩み出ていく。  光量の大きさに目が慣れてくると、次第にエリアの全体像が見えてきた。間もなく、そこが思いの他、広大な空間であることが分かった。  銀色に輝く丸く反った天井、円形状の敷地。全面が鋼鉄で固められた、巨大なドーム型の空間であった。 「何だ、ここは?こんなドームがあるなんて、情報にはなかったぞ!」  フィリップたちは当惑し、ドームの周囲をぐるりと見渡した。  その直後だった。ここに来て、彼らが初めて歓迎されたのは。 『リヒター水産研究所にようこそ、DINO-ARMSの諸君』  だしぬけに、天高くからスピーカーを通して流れてくるような声が聞こえてきた。少し高いトーンだが、男の声だ。  兵士たちは警戒を強化して円陣を組み、四方にサブマシンガンの銃口を向ける。 「何者だ?キサマが我々をここまで誘導したのか!?」  フィリップは、姿なき声に向かって叫んだ。返答を期待したわけではなかったが、意外にも反応があった。 『これは失敬。私の名はギックルルス・リオス。ここの主任研究員だ』  その言葉がドーム内に響き渡ると同時に、突如、若い男の顔がスカイプレデターの前に出現した。
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