暴君咆哮

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 これはエネルギースクリーンだ。電磁エネルギーの力場を発生させて、大気中に映像を投影しているのだ。 「リオス博士だと……?」  映像が現れたことよりも、男の言動にフィリップは驚いていた。  同時に、不信感にも苛まれた。なぜなら、諜報部からの情報によれば――。 「バカな!博士は拘束されていたはずだぞ!」  若い兵士が、映像の中の男に叫ぶ。  自らギックルルス・リオス博士だと名乗った男は、それを鼻で笑った。 『ハハッ!どうやらキミたちDINO-ARMSの情報戦略は、もはや時代遅れのようだ。私が生体兵器を生成していることはおろか、この研究所に所属していることさえ掴めていなかったのだからね』 「せ、生体兵器を生成していただと!?」  フィリップは驚きのあまり、目を見張り、ギックルルスの言葉を反芻していた。 『諸君がお邪魔してくるのは想定済みだった。そこで、実際の対歩兵戦で生体兵器が真価を発揮できるか、諸君でテストさせてもらったわけだよ』  兵士たちに、もはや驚きの念はなく、代わりに言い知れぬ怒りが込み上げてきた。命を軽視し、兵器の製造を愉快げに語るギックルルスに、殺意を伴う憎しみが生まれつつあるのだ。 (俺たちは、生体兵器の戦闘実験に加担しただけだったのかよ)  こんな悪魔のような男を保護しようと命を懸けていた自分たちがバカらしくなる。  フィリップは、サブマシンガンのグリップを力強く握り締めた。
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