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フィリップ以下、スカイプレデターの兵士たちは前方から来ようとする脅威に敵対した。
「いいか、みんな!何が出てこようとも、臆せずに立ち向かえ!」
「了解!」
各員、緊迫感を押し殺して、目の前の戦いに集中する。
フィリップはサブマシンガンを放り投げ、背部のウェポンラックから、火力の高いアサルトライフルを引き抜いた。
『さあ行けっ!バーサークレックスよ!』
ギックルルスの高らかな声で、スピーカーが音割れした。
一瞬の沈黙。
重い静寂がドームに降りてくる。
(――!)
それを打ち破ったのは、割れた壁の穴の中から響いてきた爆音だった。
人工的な音ではない。獣の雄叫びだ。ライオンより重々しく、ワニよりも遠く響く鳴き声。
そのあまりの勢いに、屈強な兵士たちも大きくぐらついた。
「ゆ、油断するな!」
闘志を奮い立たせて、フィリップは両足で床をしっかりと踏みしめた。
生体兵器だろうと生物である以上、倒せないことはないはずだ。そう自分自身に言い聞かせ、ライフルを構え直す。
だが、開いた壁の闇のを脱ぎ捨てながら、光の空間に歩み出てきた者を見た時、兵士たちは戦慄することになる。
それは、人間が――否、すべての哺乳類が封じていた、太古から残る忌まわしき怪物への恐怖だった。
それが、時を経て甦った。人間が自らの手で、仇敵を呼び覚ましたのだ。
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