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バーサークレックスは、勢い良く地を蹴った。約7トンに達する巨体が、地響きを立てながら突進してくる。
速い。瞬発的なダッシュ力は、巨大生物の常識を超えている。
床がドラムのように震動し、人間たちは恐怖で震え上がった。
「う、射てぇ!射ちまくれぇ!」
フィリップが攻撃命令を出す。それが、彼が下した最後の命令であった。
バーサークレックスが近づくに連れて、その非現実的な巨大さがリアルに迫ってくる。
その時、兵士たちは悟った。こいつはバケモノだと。現実の世界に存在する、本当の怪物だと。
自分たちがいくら束になってかかっても、絶対かなわないと……。
ドーム内には、しばらく銃声と火器の爆発音が鳴り響いていたが、やがてそれは哀れな獲物たちの悲鳴に変わった。
光沢を放つ鉄の床は、千々に噛み砕かれた糧の肉片と、多量の鮮血で彩られていた。
獲物の返り血を浴びて、バーサークレックスの威容はさらにおぞましくなった。
まさに、血塗られた暴君竜。
無敵の。最強の。
そして、最凶の……。
バーサークレックスは、激しく吠えた。
狩りだ。もっと狩りがしたい。
時を越えて、この星に再び王の力を示してみせる。
狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ狩りだ……。
最強は、俺だけだ!
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