海の叫び

4/13
前へ
/2816ページ
次へ
「人間がサメの命を奪ってきているってことですか?」  レオンは少し驚いたような態度で聞いた。 険しい面持ちのまま頷くリナ。 「いちばん数が多くて、いちばん質の悪い殺しがフカヒレ漁よ」 「フカヒレって、あのスープに使うやつ?」  カイトが訊く。 「そうよ。フカヒレの需要はとても高くて、年間で何千万……下手をすると何億匹ものサメが殺されているの。その殺し方も残酷よ」  レオンたちは、思わず息を飲んでいた。 「船上にサメを引き揚げた後、ヒレだけ切り取って、サメを海に捨てるのよ。当然、ヒレのないサメたちは泳げない。水中でもがき苦しんだ挙句、ようやく死んでいくの。これは、小型のサメに多用される殺し方よ」  口調が次第に雄弁になっていく。 「科学者はサメの個体数の減少に警鐘を鳴らしているんだけど、フカヒレの需要は増える一方。サメの保護活動が本格的に始まったのはごく最近のことだから、まだまだ余談を許さない状況が続いているわ」  リナの言葉の一句一句が、レオンの胸に突き刺さってくる。  まったく知らなかった。  自分たちの食卓に出回ってくるフカヒレ。それを獲るために、サメが極めて無惨な手口で殺されていること。その苦しみを味わって死んでいくサメが無数にいること。  きっと今も、世界のどこかで……。
/2816ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3278人が本棚に入れています
本棚に追加