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「人間がサメの命を奪ってきているってことですか?」
レオンは少し驚いたような態度で聞いた。
険しい面持ちのまま頷くリナ。
「いちばん数が多くて、いちばん質の悪い殺しがフカヒレ漁よ」
「フカヒレって、あのスープに使うやつ?」
カイトが訊く。
「そうよ。フカヒレの需要はとても高くて、年間で何千万……下手をすると何億匹ものサメが殺されているの。その殺し方も残酷よ」
レオンたちは、思わず息を飲んでいた。
「船上にサメを引き揚げた後、ヒレだけ切り取って、サメを海に捨てるのよ。当然、ヒレのないサメたちは泳げない。水中でもがき苦しんだ挙句、ようやく死んでいくの。これは、小型のサメに多用される殺し方よ」
口調が次第に雄弁になっていく。
「科学者はサメの個体数の減少に警鐘を鳴らしているんだけど、フカヒレの需要は増える一方。サメの保護活動が本格的に始まったのはごく最近のことだから、まだまだ余談を許さない状況が続いているわ」
リナの言葉の一句一句が、レオンの胸に突き刺さってくる。
まったく知らなかった。
自分たちの食卓に出回ってくるフカヒレ。それを獲るために、サメが極めて無惨な手口で殺されていること。その苦しみを味わって死んでいくサメが無数にいること。
きっと今も、世界のどこかで……。
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