プロローグ

8/8
前へ
/8ページ
次へ
「あ、あの…」 少女がおずおずと声を出す。すっかり忘れていた。 「「?」」 指差した先―2人の後ろの方にはベアが…。 「やっば~!…ねぇ、俺が魔法でサポートしたら勝てる?」 「やらなきゃ分かんない…だけど勝てる気がする」 後々、アタシがコイツに惹かれてついて来た理由かも。 「俺も勝てそう―あっ!ごめん!サポートとか言ったけれどさ……補助魔法使えないや。攻撃魔法しか使えないッス」 やっべー…やっちまったなオイ。なんて顔をした。割とカッコいい部類に入る顔が台無しである。 …まぁ、アタシには全く関係ないことだが。 「なら言うなや!」 ぴしゃりと言い放つとベアの前へ躍り出る。図体はでかいからか、動きは遅い。 「はあっ!」 ベアの足に向かって切りかかる。しかし、どんなに技と速さを磨いていても力の無さはカバー出来ない。 「何て硬い毛皮なの!?」 ベアの茶色い毛がはらりと何本か切れただけだった。更に、相手を怒らせてしまったらしい。 「グゥアアア!!」 「―くっ…!」 とっさに攻撃を避けるが、態勢は崩れてしまう。そこに魔法使いの男が魔法を発動させる。 「―大地の巨壁、我が敵を討て!!ウォールロック!」 当然、敵に何らかの異変があると思った。 ―バリバリっ! 地面に異変が起きた。が、しかしそれは敵ではなく、自分にだった。 ―バコォオオオンッ! 「魔導師ィイイ!お前の敵はこのアタシかぁあああっ!!」 我が敵を討て…!ってアンタ、どんな詠唱してやがんだコラ?三代先まで祟るぞ。 「…って、あれ?」 土の円柱の上に乗っかっており、それはベアを見下ろせる高さまであった。 「そっから、ベアの頭かち割って!重量の魔法を君にかけるから」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加