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「あ、あの…」
少女がおずおずと声を出す。すっかり忘れていた。
「「?」」
指差した先―2人の後ろの方にはベアが…。
「やっば~!…ねぇ、俺が魔法でサポートしたら勝てる?」
「やらなきゃ分かんない…だけど勝てる気がする」
後々、アタシがコイツに惹かれてついて来た理由かも。
「俺も勝てそう―あっ!ごめん!サポートとか言ったけれどさ……補助魔法使えないや。攻撃魔法しか使えないッス」
やっべー…やっちまったなオイ。なんて顔をした。割とカッコいい部類に入る顔が台無しである。
…まぁ、アタシには全く関係ないことだが。
「なら言うなや!」
ぴしゃりと言い放つとベアの前へ躍り出る。図体はでかいからか、動きは遅い。
「はあっ!」
ベアの足に向かって切りかかる。しかし、どんなに技と速さを磨いていても力の無さはカバー出来ない。
「何て硬い毛皮なの!?」
ベアの茶色い毛がはらりと何本か切れただけだった。更に、相手を怒らせてしまったらしい。
「グゥアアア!!」
「―くっ…!」
とっさに攻撃を避けるが、態勢は崩れてしまう。そこに魔法使いの男が魔法を発動させる。
「―大地の巨壁、我が敵を討て!!ウォールロック!」
当然、敵に何らかの異変があると思った。
―バリバリっ!
地面に異変が起きた。が、しかしそれは敵ではなく、自分にだった。
―バコォオオオンッ!
「魔導師ィイイ!お前の敵はこのアタシかぁあああっ!!」
我が敵を討て…!ってアンタ、どんな詠唱してやがんだコラ?三代先まで祟るぞ。
「…って、あれ?」
土の円柱の上に乗っかっており、それはベアを見下ろせる高さまであった。
「そっから、ベアの頭かち割って!重量の魔法を君にかけるから」
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