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─街の中を一人だけ、明らかに浮いた服装をしているのに溶け込んだように歩く若者。
青紫のとんがり帽子に、地面にペタリとついてしまいそうな、同色のマント。
茶色に近い金髪はふわりと風に揺れ、朱い瞳はまるで夕焼けのように切ない色。
足取りは何処を目指している訳でも無いようです。さっきからあちこちをランダムに歩いてるのですから。
「マグ、何処にいこうか?東西南北どちらへ?意表をついて、もうちょい留まる?」
「ぎゃぉ?」
肩に乗せたエメラルドグリーン色をしている小さなドラゴン─マグニフィセント。
略して呼ぶくらいなら最初から長い名前をつけるなというものですが、どうやら意味があってつけたようです。
「ケーキでも食べたいんだよな…せっかくモンスターを倒して稼いだんだし……─ん?」
「ちょっと、どうしてなのよ!許可書は持ってるじゃない」
「…あん?お前みたいな小娘にこんな仕事が勤まるはずがねぇだろ」
前の方から気の強そうな少女の声と嘲り笑う男達の声がきこえてくる。
「ふざけんじゃないわ!アタシだって戦えるわよ!少なくともアンタ達よりはね」
ふふんと鼻で笑い返した少女は恐れる者無しといった態度だ。
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