雛恵のミス

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東京の道路を一台のタクシーが通り過ぎていく 運転手の西原雛恵(にしはらひなえ)は29歳の女性、大学を卒業後、一流企業に就職したが、部下の扱い方がひどい上司に付いていけず、辞表を叩きつけた。 そしてタクシー会社に就職したが、その会社も三ヶ月後に倒産したため、個人タクシーを始めた。 「なかなか人が集まらないなー、まあ朝っぱらだしそんなにお客さんはいないか」 雛恵はそう言いながらタクシーを走らせた。 しかしこの日の夜に雛恵は大きなミスをする事になる その日の夜、雛恵は酔っぱらいのサラリーマンの男性を乗せていた。 その男性が住んでいるのはあまり人が通らない団地街だった。 そして男性の頼んだ場所につくと静かに車を停めた。 「お客さん着きましたよ」 雛恵が言うと 「いくらで?」 と、男性が聞いてきた。 「1200円になります。」 と、雛恵は答えた。 すると男性は二千円出して車を降りた。 「お客さん、おつり!」 雛恵は男性に向かって言うと、 「つりはとっとけ姉ちゃん!」 と言って男性は行ってしまった。 雛恵は黙って男性の後ろ姿を見送ると、ドアを閉めて車を発進させた。
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