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退廃の気
「ッかーっ!やっぱ仕事後の酒は旨ェな!」
「お前には品がないな」
「黙ってろやぃ」
昼間だというのに酒の臭いが漂うのは、そこが埃臭いとはいえトラッツ村に一つしかない酒場だからだ。
そして昼間から酒場にいるのは、金持ちの放蕩息子かごろつき紛いの傭兵くらいのものだ。
さらにこんな酒場で話される事と言えば、作物の出来とお偉方の愚痴と相場が決まっている。
現に今、三人しかいない酒場の客は、三人ともが似たような革の鎧に身を包み腰に剣を吊っていた。
つまりちょっと街に出れば買えるような安っぽい量産品という訳だ。
擦り切れたような旅装や僅か荒んだ目付きも共通して、見るからに傭兵らしく、実際その通りだった。
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