当たり前の幸せ

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  そんな誠司の想いに、私は段々息苦しくなって行った。 愛してるのに… こんなに愛してるのに… 誠司『お前は全然俺の事愛してない。 お前は母親になった。 俺の事…家族としか思ってねぇべ!? 俺は何年たっても恋人同士みてぇな夫婦でいたい。』 誠司は低い威圧的な声で…でも、淋しそうな表情で…そう言った。 私は何も言い返せなかった。 誠司の事、大好きだけど 誠司は…大切な大切な家族だよ…。 2人の気持ちに温度差が出始めると… 私は、誠司とどう接していいか解らなくなっていった。 だから余計… 仕事が楽しかった。 独身の美咲と話していると、家でのゴタゴタを考えずにすんだから。 美咲の話を聞いていると…いつも羨ましく思う。 好きな時に好きな人と遊んで…、 好きなようにお金を使って…、 好きな時に寝たり…、 家事も全部親がやってくれる。 私は…… 毎日、旦那と子供のご飯支度をして… みんなのお弁当を作って… 1日に洗濯機を2、3回も回して… 仕事から帰れば、座る暇もなく夕飯支度や子守…に追われる毎日。 もらった給料も何一つ自分の贅沢な物は買えない。 でも… それは私の選んだ道。 ずっと夢見て来た、誠司との最高に幸せの生活。 だけど いつしか… 最高の幸せが… 当たり前すぎて… 私には良く分からなくなって行った。  
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