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誠司は私の問い掛けには何も答えず、
ただただ…
龍真からのプレゼントを見つめていた。
藍『あっそれ龍真がね、自分で渡したいって聞かなくて…9時頃まで頑張って起きてたんだけど…
やっぱり寝ちゃったんだよ。』
誠司『…そうかぁ。』
私の言葉に、震える声で答えると、誠司はまた、涙を流した。
誠司は朝早く…帰りが遅い…。
だから、誠司は子供達の寝顔しか見れない日がほとんどだった。
逆に子供達は…
ずっと父ちゃんに会えずにいた。
誠司『俺さぁ、お前らに楽させてあげたくよぉ…すんげぇ仕事頑張って…
朝から晩までただひたすら稼いでよぉ…
でも、ガキ達と殆ど遊んであげられねぇし、ご飯だって一緒に食ってやれねぇし…
これが本当にお前らの為になってんのかなぁって…
寂しい思いさせてまで、仕事頑張る意味あんのかな…って…。』
誠司は龍真のプレゼントを見つめながら、涙を拭う事もなく、悲しそうに肩を震わせながら言葉を漏らす。
藍『……誠司。
うちらは全然寂しくないよっ。誠司が私達の為に本当に頑張ってくれてるって
分かってるから…』
誠司『本当に俺…
自分で言うのも何だけど…慣れない仕事で本当に頑張ってやって来たんだ。
まだ鳶始めて1年立ってないぺーぺーの俺が、現場任されたりして…すげぇプレッシャーもあるし、
若いからって見下されて辛い想いする時だってあるし…
こんな体力的にも精神的にも辛い仕事…
辞めちまいたくなる時あったけど……
お前らを想うと…
やっぱり頑張らなきゃなって思って、頑張って来たんだ。
……だから…
先生の書いた字だって分かってるけど、
本当に龍真が『お父さんいつもありがとう』
って思ってくれてたみたいで……
すんげぇ嬉しい。』
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