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…エピローグ・b…
美しい海の見える丘に、
一人の人間が立っていた。
長い髪を風に委ねて、哀しげに目の前の墓碑を見つめる。
頬を伝う涙に気付かないフリをして、ただ一心にそれを見ていた。
何度も口を開いては閉じ、を繰り返し、人間はその紅い瞳を隠した。
「……さようなら」
そう呟き、その場を後にした。
空は何事もなかったようにその青で世界を支配している。
…墓碑には一輪の赤い花が風に吹かれ、その存在を強く主張していた…。
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