女性として…。

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店に入って、一ヶ月が過ぎた。少しづつだけど、姉さん達とも仲良くなれて、何よりも、自分と同じ悩みを抱えて来た人達が回りに居るのが心強かった。 ダンスのレッスン、歌のレッスン、色々勉強した。 一番、最初から上手く出来たのは、メイクだった。 小さい頃から良く、母さんの化粧を横で見ていた。友達の友美にも良く化粧を教えて上げていたから、ママから、ステージのメイクの方を任される様にもなっていった。 たまに、友美も呑みに来てくれて、寂しい気持ちは、余り無かった。自分で早くこの世界になれる事で精一杯だった。 俺は、何時しか、私に変わっていた。 自然に出て来た時、思わず自分で吹き出した。 〈姉さんに変じゃない?〉って聞いた事あった。姉さんは、私に、 『うん。遥ちゃん可愛いわよ。おめでとう。此れからも、沢山のおめでとうがあるから、お祝いは、全部が整った時にね。』 その言葉が嬉しくて、涙をながした。 この店に来て良かった。この世界に来て良かった。 全ての人達に感謝していた。
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