遙の誕生

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『晃治?晃治?聞いてるの?全く、今から、賢児君とデートなのに、何を着て行ったら、良いかな?って聞いてるでしょう?』 『あっあぁー。ご免。考え事していたから、聞こえて無かったよ。そのワンピースなんて、可愛いんじゃないの?フリルも付いてるし。』 『晃治の趣味は、何時も可愛いらしいわね。(笑)私も見習わないと。(笑)』 晃治は、又考え事をしていた。友美の今日のデートの相手の事が自分も好きだった。でも、自分は、男で…。 何時も諦めて居た…。 悲しいのも、慣れっこだし。(笑) 『晃治?又、話聞いて無かったでしょう?(笑)』 友美は、化粧を始めていた。 『晃治、化粧の方を手伝ってくれない?私よりも上手いでしょう。』 『化粧位、自分でしなさいよ。ライバルの俺にさせるなんて、酷い奴だな。(笑)』 『はいはい。今度、賢児君の写真プレゼントして上げるから。今日は、協力してよ。ねっ。』 『解ったよ。でも、写真絶対頂戴よ。(笑)』 『しかし、晃治が女の子だったら、良かったのにね、化粧したら、晃治の方が私より可愛いのにね。(笑)』 『笑う所じゃないよ。(怒)』 『笑ってご免ね。本気だったもんね。(泣)』 『泣かなくて良いから。化粧崩れてきてるじゃか。(笑)酷い顔(笑)』俺は、友美の隣で、化粧を手伝って上げていた。 『ねえ。晃治も化粧してみてよ。私もう一回だけ見てみたいな、晃治可愛いんだもん。ほらっ大学のゼミで一回バツゲームで女装した事あったでしょう?あの時可愛いかったなぁ。凄く羨ましかったもん。私が反対にライバル意識持った位だもん。(笑)』 友美は、友達の中でも、俺の事を一番理解してくれていた。 男にしか興味が持てない自分の事を…。 『うん…。今度ね。』 『今度さぁ。晃治、女の子として、一緒に遊びに行こうよ。勿論、晃治は、女装してね。私の服貸して上げるから。』 友美は、意地悪でも何でもなく、本当の俺の気持ちを知って居て、言ってくれて居た。それが、俺には、嬉しかった。 『今、化粧して、お前のデートでも、観察しに行くかな?(笑)』 俺は、鏡に向かい、化粧しだした。その横で、友美は、髪の毛のセットを始めた。 『服は、クローゼットに入っているの、選んで良いよ。』 友美は、にこにこしていた。 『え?付いて行って良いの?』 『離れた所で見てだったら許すけど。(笑)』友美は、俺の顔を見なかったけど、優しい笑顔だった。
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