滋人の誕生

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春人が亡くなって早くも一年が立っていた。あれから、春人のお母さんにも会って無い。納骨以来…。 お母さんは、言っていた。 『静華ちゃん。今でも春人がひょっこり帰って来る様な気がしてね。今日夢にあの子が出て来てね。母さん体に気をつけろよって言うのよ。私の心配してくれてるの。』 お母さんは、泣いていた。 春人は、私の夢の中にも、出て来ていた。 『静華後免な。お前とずっと一緒に居るって言っておいて。約束破る事になっちまったな。本当に悪い。俺の分迄幸せになれよ。彼氏出来たら、俺の墓に見せに来いよ。』 って笑って言ってた。笑い事じゃ無いよって夢みながら、私は、泣いていた。 あれから、一度も夢に見て居ない。きっと、お別れに来たのかもしれない。 就職した私は、春人の実家に顔を出しに出掛けた。春人のお母さんは、少し、痩せたみたいだった。
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