邂逅

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アキとのことはどうすればいい。 次の家庭教師を普通にやりきる自信はない。 アキは態度を変えたオレに不信感を抱くだろう。 もういい。 本気で勉強したけりゃ塾にでも行けばいいんだ。 怒りではないが、何かをぶつけたかった。 紀子「けい」 オレ「…ん?」 紀子「私たちはいつまでも従姉弟だから」 オレ「うん」 紀子姉の言わんとするところを掴みかねて曖昧に返事した。 紀子姉はいつも優しかった。 一つ高いところから物事を見ていた。 幼い頃から両親との触れ合いがあまりなく、我慢することを何とも思わないようにした環境が紀子姉を早く大人にしたのだと思う。 それを思うと悲しい気もするが本人は大して気にしていないようだ。 紀子「けいが困っているときは力になる」 オレ「…」 紀子「だから、私が困っているときは助けてね」 オレ「…」 紀子「ほら、返事」 真っ直ぐ微笑むのは反則だ…。 何も解決していないのにオレもつられて笑ってしまう。 オレ「はい」 紀子「ふふ。やっと笑った」 この子が彼女だったら…。 情けねえなあオレ。 もやもやした気持ちが中和されていく。
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