§プロローグ§

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 1945年初秋。大日本帝国。  第二次世界大戦のさなか、八月六日 広島。八月九日 長崎に核爆弾が投下された。  被害総数にして三十万人弱が死の淵へと葬られた。  核によって被害を被った日本は、焦土とかした二大都市 広島・長崎を見捨てるというやむを得ない選択肢へ。  飽きることなく続けられた戦争。  大阪は、焼け落ち。  首都東京も崩落。  不利日本・有利世界。  あらゆるものを捨てていった日本は、12ヶ月の時を耐えに耐えて耐え抜いた。  民衆達の四割は餓えに死に、六割は生き抜いた。  その間、戦時中兼ねてから秘密裏に開発を進められてきた水素爆弾【鴉】を生み出した日本。  それが呆気なく放たれたのは、1946年 初夏のことだった。  放たれた場所は、大陸ではなく“海”。  太平洋に3発。  ハワイ、ロシア、アメリカ。  それぞれで、爆発が目撃された。  海水が吹き上がり一気に蒸発。  まるで夢を見ているかのように綺麗な“虹”(はな)が見えたという。  夢のような最後の太洋の花【Last Summer】が咲いて以来、周囲を死の海に化した日本は独自の繁栄を起こしていくことに。 .
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