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人と言う人を避けながら、さ迷った。 朝はサラリーマンやOLが通るけど、夜になれば、眠らない街になる。 オカマバーと書いてある看板もあれば、普通のキャバクラもある。 「ダメですよ。さぁ、水割りどうぞ。」 見るもの全てが虜になった。 ここなら私を受け止めてくれるかも知れないって、思ってた。 だけど━ <退け糞オカマ!!うろちょろ歩いてんじゃねぇよ!!> 私はあの言葉を一生忘れない。 私には居場所がないって、谷に突き落とされた感じだったわ。 でもね、そんな荒くれ者の言葉を撤回してくれた人がいた。 今も尊敬できる、凛ママ。 <ちょっとあんた、可愛い子に酷いこと言うじゃないのさ?オカマ舐めんじゃないわよ!!> 凛ママのストレートパンチ、カッコイイよかった。 「まぁ、徐々に口説いてみるか。カリンちゃんも好きな物、なんでも飲みなよ」 荒くれ者はその場で失神したわ。 これも忘れられないわね。 <大丈夫あんた?こんな男の言葉、間に受けちゃダメよ?> 最初に見た凛ママは、とても綺麗で、可愛くて、でも少々男で。 私にはヒーローに見えた。
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