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武はゆっくりとバッターボックスに立ち、靴で土をまんべんなく馴した。
ザッザッザ
司会「そろそろ行きますよ」
司会の言葉通りバットを立て、振る準備を整えた。司会を鋭く睨み付けながら。
司会「行きますね」
それはそうと、俺は何も考えて無かった。何球目に打てばいいんだ?これは、全て運試しだが、一歩ミスれば死に至る。
最初は見逃すか?裏をかいて打ちに行くか?
ビュン---→
まずい!いきなりきた!ど、どうすれば…
「み」
ふと、何処からか「み」と聞こえた。空耳だろうか。いや実声だ。
バシーン!!!
考えてるうちに、ボールはミットにしっかりと入ってた。
「次は…う」
まただ。周りを見渡しても誰も喋ってる景色では無い。
然し次は、う?何のことだろう。先程も、【み】とは一体何のことなんだろう。
司会「2球目…行きますよ」
元気なく司会が呟いた。
つべこべ考えず、今は自分の心配をしよう。生き残ったら、考察をしよう。
ビュン!!!
無定期にボールは飛び出してきた。
きた!
武「ど、どうすれば…」
う、打つか!
武は思いっきりバットを振った。
カッキーン!!
ボールはバットにジャストミート。ボールはバットにくっつくことも無く綺麗にセンター前にボールを落とした。
ガク
打ち終った後、足の力が一気に抜け崩れおちた。
武「よ…よかった。母さん勝ったよ。」
一先ず、勝利を小さく母に伝えた。
「ょぉ~」
ん?誰だ。
「俺に礼はないのかづら」
目はパンダみたく、やる気が無い目をして、背は小さめで江戸っ子弁だ。髪の毛は無造作に伸びてて、洋服は長めでダブダブだ。
武「なんのことだよ」
「もう忘れたのかづら?みとか、うとか教えてやったじゃねぇかづらぜ」
あの正体はコイツだったのか。
武「名前は何だよ」
「俺っちの名は絹木勝づら(きぬきすぐる)」
武「そうか、宜しくな」
絹木「あぁ」
武「処でみとか、うとか何なんだ?その答えを教えてくれよ。」
絹木はバックネットに寄り掛かり答えた。
絹木「アレは、見逃しと打ての頭文字づら」
武「頭文字?…本当だ。」
絹木「だろ。お前は分かってくれると思って教えたづらが、実は知らなかったというオチづらけ…」
ドッカーン!!!!
絹木「またづらか」
武「うそだろ…」
死亡者と同様の有様だ。
武「だけど、何で分かったんだよ。」
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