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天堂地獄との激戦から数年~
20歳になった烈火は、父・茂男の跡を継ぐため、花火職人として修行中だった。
「出来たぜ!新作花火、名付けて[白雪]!!」
ゴツン!!
鈍い音が辺りに響く。
「このボケ息子!半人前の分際で何が新作花火だこの野郎!!」
頭をさすりながら見上げると、怒った表情で烈火を見下ろす男がいた。父・茂男である。道端で泣いていた赤ん坊の烈火を拾い、自分の子のように育ててきた。血は繋がっていないが、お互い本当の親子のように接している。
「痛ってぇなバカ親父!!」
「そんなバカなことやる暇があるならもっと精進しやがれ!」
「ふっふっふ…おれは火影頭首だぜ?火薬の扱いならもはや親父より上…」
烈火が話し終える直前、烈火の視界に黒い影が映った。
直後、突如爆発!
「ふははは、まだまだ甘いわぁ!この茂男様を超えようなど10年早い!」
黒焦げになった烈火を踏みつけ、高笑いしている。
「…ちくしょー!不意打ちとは卑怯なり!」
烈火と茂男がじゃれ合っていると、一人の女性が現れた。母・陽炎だ。烈火の産みの親である彼女は、天堂地獄との戦いが終わってから烈火と茂男と共に暮らしている。
陽炎は片手にフライパンを持って二人に近づき、一閃。ゴンゴンッ!!
目にも止まらぬ早さで二人の頭を叩く。
「ハイ、お昼ですよ」
二人は頭から煙を上げながら後を付いて行く。
お昼ご飯を食べながら烈火は、こんな平和な世の中がいつまでも続けばいいのにな、と思っていた。
その時、「ピンポーン」呼び出し音が鳴った。
誰か来た。陽炎が出て行き、連れて来たのは…高校の時の恩師、立迫先生だった。
「よう花菱!相変わらず元気にやってるみたいだな。」
朗らかな表情で立迫が入ってきた。
「いやぁ先生久しぶり!卒業式以来だっけ?」
「もう2年になるのか…お前には色々苦労させられたよ」
懐かしい人との久しぶりの再会に話が弾んでいると、立迫がカバンを取り出し言った。
「今日お前の家に来たのはご機嫌伺いだけのためじゃないんだ。」
そういうと、立迫はカバンから古びた布切れを取り出した。
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