第1章~火影の里~

3/16
前へ
/67ページ
次へ
「なんだこの布切れ?」 A4サイズくらいの布切れを見ると、古い地図のようだった。 「実はな、とある骨董品市で買った忍者の本に挟まっていたんだ」 そう言って立迫は地図の一部を指差した。 そこには火影の里と書いてあった。 「火影の里…?まさか…」 「そう、これは火影忍軍の里の位置を記してある地図みたいなんだ。」 「火影の里。おれが生まれた場所…」 そこへ、洗い物を済ませた陽炎がやってきた。 「そうだ、母ちゃんならわかるだろ?火影の里の場所。この地図本物か?」 陽炎が地図を覗き込む。 「驚いた。こんな地図が実在するなんて…そうね。位置はほぼ完璧に合ってるわ」 …自分が生まれた場所を記してある地図。今は亡き火影の里。 「どうだ?行ってみないか?」 「行ってみてぇ!今はもう何にも残ってないだろうけど、どんな所か見てみたい!」 立迫はワクワクした顔を見せる烈火を見て、カバンからもう一枚布切れを取り出した。 「あれ?なんだ、もう一枚なんかあるの?」 そこには火影の里の見取り図みたいなのが書かれていた。 立迫は見取り図の端の方を指差した。 「二人共、ここを見てくれ」見るとそこには、里から少し離れた場所に洞窟みたいなものがあり、その先にちょっとした空間があるようだった。 「陽炎さん。この洞窟、ご存知ですか?」 「…いいえ。私も初めて知りました。」 戸惑いながら答えた。 「地図の通り洞窟があるかどうかわからないけど、行って見る価値があるとは思わないか?」 「うおおぉ!!ワクワクしてきたぜぇ!」 「全く…高校のときからちっとも成長してないんだから…」 陽炎が溜め息をつく。烈火はそんな事全く知らん顔で、興奮覚めやらぬようだった。 「立迫先生も一緒に行くよな?!」 「いや、行きたいのは山々なんだけど、妻が妊娠中でね。予定日が近いからそばに居てやりたくて。」 「先生お父さんになるのかよ!おめでと!生まれたら呼んでくれよな!みんな連れて行くよ!」 「おめでとうございます」 「いや、ありがとうございます。まぁそういうことだから、石島達と行って来い!なんか発見があったら教えてくれよな!」 「あったり前じゃん!いの一番に報告に行くって!」 「では僕はそろそろ帰るよ。妻の様子を見に行かないと。」 そう言って立迫先生は帰って行った。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

381人が本棚に入れています
本棚に追加