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狼燕の声が消えてからしばらくの間、誰一人として口を開こうとはしなかった。
全員下を向いたまま複雑な表情をしながら考え込んでいたが、やがて顔を上げ、烈火が口を開いた。
烈火「…みんな狼燕の話、どう見る?」
烈火の問いに対し水鏡は、
水鏡「確かに罠の可能性は捨てきれないが…罠にしてはやり口が妙だ」
風子「確かに引っ掛かるね。私達のことを常に監視できる魔導具があるみたいだし、私達を本気でどうにかするつもりなら、こんな罠を用意しなくても他にやりようがあるはずだよ」
小金井「おれもそう思う。狼燕はただ遊んでるんじゃないかな。洞窟内でも、おれ達の実力を確かめるかのように刺客を差し向けてきたし」
土門「言われてみりゃそうだな。おれ達を殺すつもりなら、もっと大軍を差し向けりゃいいわけだしな」
烈火「……」
烈火は、難しい顔をしながら考え込む。
そんな時、黙って聞いていたジョーカーが口を開いた。
ジョーカー「そんな悩んだってしゃあないでしょ?」
烈火「どういうことだジョーカー?」
全員がジョーカーに視線を向ける。
ジョーカー「罠やろうが罠じゃなかろうが、行くしかないでしょ?
狼燕を無視して正面突破…こら無謀ですわな。
次に、二手に分かれての陽動作戦。狼燕に作戦が筒抜けな以上、これも無駄でしょ?
常に監視されてると思われる現状やったたら、ヤツの言う通りにするしかない…ちゃいますか?」
確かにその通りだった。
少しの沈黙の後、烈火が口を開いた。
烈火「確かにジョーカーの言う通りか…よし!罠だろうが関係ねぇ!行ってやろうじゃねぇか…何を考えてるのか知らねぇが、ぜって~後悔させてやる」
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