357人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、雅人さん次の信号右…」
十字路に差し掛かり、奈々が指を右に指したが、
「え、雅人さん?」
車は真っ直ぐ進み、曲がるべき道を過ぎていった。
行き場のない指先。
まさか、聞こえてなかった…?
「…お前はそれでいいのかよ。」
突然雅人が口を開く。目は真っ直ぐに前を見ていた。
「よくは…ないですけど…。」
奈々は指をゆっくり降ろし、膝の上に置いた。
「けど、これ以上東和さんに迷惑かける訳には…!」
あたしのことを本気で心配してくれてる人のことを困らせたくはなかった。
納得なんて出来ていない。
あたしは、どうすればいいの…?
「…奈々。被害者の家行くぞ。」
「え…それってまずいんじゃ…。」
「大丈夫だよ。今回の事件も俺が担当だから。」
「でもっ…、」
何かあった時、責められるのは雅人さんなのに…!
最初のコメントを投稿しよう!