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「お待たせしました。」
キッチンから少女が帰ってくると、雅人が奈々の膝を軽く叩いた。
「すみません…本当にお構いなく…。」
目元に溜まった涙を拭い、奈々は小さく深呼吸をした。
「…申し遅れましたが、私達は今回の事件について調べている者です。」
「…警察の人…ではないんですよね?」
「…まぁ…一応は。」
奈々は思わず雅人の方をチラッと見た。
「…姉は、自殺なんかしません。」
ぽつりと、少女が呟く。
「あたしを一人にはしないって…いつも言ってくれていました…。」
少女は顔を伏せ、悲しげに呟いた。
「…あの、お名前、お名前教えてくれる?」
「…え?黒岩…黒岩静香です。」
少女がゆっくり顔を上げた。
「静香ちゃんね…大変だったでしょう?あたしの親友もね、この一連の事件に巻き込まれて亡くなったの。」
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