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忘れもしない。
あの日、由香の部屋にあったパソコンが表した
『COMPLETE』
の文字。
「あれは確かに、初めて見るパソコンでした。ちょっと前にパソコンの調子が悪いから、中古のパソコンを買うかも、とは言っていたのですが…。」
思わず奈々と雅人が顔を見合わせる。
やはり、今回の事件も鍵を握るのはパソコンなの…?
「姉は…あたしにとってたった一人の家族でした…。」
「静香ちゃん…。」
少女はスカートをぎゅっと強く握り、涙を堪えているようだった。
「春からあたしも高校生になって…バイトとかすればお姉ちゃんの負担も減らせるかなって…。」
少女らしい、素直な言葉が耳を貫く。
「あたし…本当に一人になっちゃったんです…。」
まだ高校生になったばかりの少女には、重過ぎる孤独。
なぜこの子がこんな悲しい思いをしなくてはいけないの?
そう思うと、呼吸するのが辛いくらい胸が痛んだ。
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