感染ー1ー

4/15
前へ
/167ページ
次へ
午後の講義が終わると、奈々はすぐに警察署に向かった。 署内に入ると東和さんの後ろ姿があった。 「東和さん。」 声をかけると東和はゆっくりと振り返った。 「奈々ちゃん、久しぶり。」 東和はほとんどかわっていなかった。相変わらず優しい笑顔で。 「元気そうだね。」 「はい。お蔭様で。…あの、」 「わかってるよ。」 思い切って事件について聞こうとすると、東和が奈々の言葉を遮った。 「ここじゃあれだから、奥の部屋に行こう。」 見透かされてるなぁ…。 「今回の事件の被害者は、全身を自らで強打している。」 「強打…ですか。」 「今までは刃物だったのに対し、今回はレンガ。」 レンガで、体を強打…。 「痛そう…。」 思わずぽつりと呟く。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

357人が本棚に入れています
本棚に追加