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午後の講義が終わると、奈々はすぐに警察署に向かった。
署内に入ると東和さんの後ろ姿があった。
「東和さん。」
声をかけると東和はゆっくりと振り返った。
「奈々ちゃん、久しぶり。」
東和はほとんどかわっていなかった。相変わらず優しい笑顔で。
「元気そうだね。」
「はい。お蔭様で。…あの、」
「わかってるよ。」
思い切って事件について聞こうとすると、東和が奈々の言葉を遮った。
「ここじゃあれだから、奥の部屋に行こう。」
見透かされてるなぁ…。
「今回の事件の被害者は、全身を自らで強打している。」
「強打…ですか。」
「今までは刃物だったのに対し、今回はレンガ。」
レンガで、体を強打…。
「痛そう…。」
思わずぽつりと呟く。
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