感染ー1ー

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その言葉に東和は苦笑いを浮かべ、あごをさすった。 「痛い…か。そうだな。ナイフとは違う痛みがあるだろうね。」 ナイフで突き刺し、切り裂くのとは違う、 骨が徐々に砕けていく痛み。 「骨を砕いただけでは簡単には死ねない。足の先から砕いていって、結局頭を自分で強打したんだ。」 聞いただけて鳥肌が立つ。 しかし根本的なものは変わっていない。 2年前の、パソコンを使った連続殺人事件。 「東和さん、これってやっぱり…。」 「恐らく…。」 なんとなく、予感がしていた。私が拉致されたあの日、信者の男が言っていた、 『今回はあなたの勝ちです。』 男は、事件が終わらないことを確信しているようだった。 「奈々ちゃん。」 東和に名前を呼ばれ顔を上げる。 「あの事件に関連があるとはいえ、今回の事件は君には直接関係はない。君はもう事件を忘れなさい。」
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