感染ー1ー

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「わかってます…ちゃんと…。」 私にはもう、この事件に関与する理由がない。 あの悪夢は終わったんだと。 涙をハンカチで押さえ、声を絞り出した。 「でも…本当の終わりは来てません。」 由香の笑顔が脳裏にちらつく。 由香…。 「由香が死んだ、あの日から、私はずっと…戦ってます。」 ただの、我が儘だとわかっていた。 どうしようもないこともわかっていた。 それでも、どうしてもこれだけは言っておきたくて。 「…そうだな。奈々ちゃんの言う通りだ。」 東和の優しい言葉に思わず顔がほころぶ。 「なんだか、出会った日に似てますね。」 「そうだな、こんな感じだったな。もう、あれから2年か。」 あたしは何も変わらない。 泣きながら、必死に何かを訴えていた。 2年経った今でも。
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