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「わかってます…ちゃんと…。」
私にはもう、この事件に関与する理由がない。
あの悪夢は終わったんだと。
涙をハンカチで押さえ、声を絞り出した。
「でも…本当の終わりは来てません。」
由香の笑顔が脳裏にちらつく。
由香…。
「由香が死んだ、あの日から、私はずっと…戦ってます。」
ただの、我が儘だとわかっていた。
どうしようもないこともわかっていた。
それでも、どうしてもこれだけは言っておきたくて。
「…そうだな。奈々ちゃんの言う通りだ。」
東和の優しい言葉に思わず顔がほころぶ。
「なんだか、出会った日に似てますね。」
「そうだな、こんな感じだったな。もう、あれから2年か。」
あたしは何も変わらない。
泣きながら、必死に何かを訴えていた。
2年経った今でも。
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