靴磨きの少年と探偵

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 パルテおじさんが新聞の記事を注意深く読んでいる間に、僕は仕事をしっかりと済ませました。   「はい、終了しました。またのご利用をお待ちしています!」    いつもと同じように、はきはきと言いました。   「うむ。さぁ、料金だ」    料金を支払うと、パルテおじさんは去り際に一つ言い残します。   「……あぁそれと。もしかしたら君は勘違いしているかもしれないが、先程言った゛新しい客゛とは我が輩の事ではない。    ――君の事さ。」    大抵、僕の靴磨きの客は一人。つまり、パルテおじさんだけ。  靴磨き同士の゛縄張り゛の関係で、新参の僕の所には全く客は来ないのです。    「え? ……それはつまり、どういう事ですか?」 「そういう事さ……。クァフフフフフフ!」    呆然とした僕を尻目に、パルテおじさんは人ごみの中へと消えて行きました。
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