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画策
トカゲ族の常連客が去った後、靴磨きの少年は考え込んでいた。
「パルテおじさんが僕にお客さんを紹介するなんて…。どういう事なんだろう…。」
ウィルが靴磨きという仕事を始めたのは、ほんの数ヶ月前からである。
先程の、唯一の客と知り合ったのはほんの数週間前。あちら側から、ウィルに話し掛けてきたのが始まりだった。
「我が輩の息子が生きていたら、丁度君と同じ年だったからね。」
後々になって近づいてきた理由を聞いたウィルは、その時後悔した。
呟いた後の彼の顔が、あまりにも哀愁を帯びていたから。
「すみません」と即座に謝った程、彼は悔やんだ。
しかし、
「なぁに、君は悪くないさ。我が輩みたいな、家庭を顧みない仕事中毒な人間に神様が罰を与えただけだからね。クァフフフフフフ!」
彼はそう言って許してくれた。
この時以来、より一層ウィルに世話を焼いてくれたが、流石に今回のような例は始めてだ。どうするべきかとウィルが迷っていると―
「失礼、ウィル君?」
声がかかった。
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