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静まり返った屋敷のなか。
一人の少年が揺り椅子に揺られている。
誰も訪れない大きな屋敷で一人、二度と立ち上がることなく。
不意に少年が閉じていたその目を開ける。
視線の先には珍しい訪れ人。
闇色の青年。
「久しぶりだね」
「……」
「元気にしていた?」
「……」
問いに答える声はない。
青年は苦笑して少年の傍に寄る。
頬を撫でても反応はなく、視線は真っすぐに青年を見る。
「いつまで待ち続けるの?」
「……帰ってくるまで」
初めての返答。
しかし、それは哀しくて。
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