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家に帰って、光の訓練をしていた。
神田先生から言われた事は、一応やってみる。
神「足の部分を押さえて、立たせてあげてください。」
神田先生の言葉が頭によぎる。
光のために出来る事はやろう、そして、二週間後、神田先生を驚かせてやろう。
私は目標をたてた。
光は、立つ時もあるが…、ほとんどがハイハイで移動する。
普通の子供なら歩いていてもいい年齢なのに。
私は、母にも手伝ってもらいながら、光の訓練を続けた。
二週間後…。
発達医療センターに、親子がいた。
私「かわいいですね、何歳なの?」
私が聞いた。
お母さん「今ね、二歳四ヶ月なんですよ。」
…光より小さい…。びっくりしてしまった。
お母さん「この子ね、生まれた時未熟児だったんですよ。」
私「そうなんですか?どおりで少し小さいんですか。」
親子は、診察のため、診察室に入って行った。
光は、ままごとのセットを、ぐちゃぐちゃにして遊んでいた。
10時20分、神田先生との約束の時間だ。
神「光君元気だったかな?」
神田先生が光を抱き上げた。
光が笑った。
ようやく先生になれてくれたみたいだ。
神「お母さん、ようやく光君なれてくれましたね。僕、うれしいです。」
私「私も初めはどうなるかと思いましたよ。」
二人で微笑みあった。
神「さて、訓練始めようか。」
神田先生が靴を持ってきた。
神「この靴ね、かかとの部分が固く出来ているんですよ。この靴で足を、固定させるんです。」
私「へぇー。本当に固いですね。」
触った感じは固かった。
光が嫌がらないかしら?
神「じゃーはかせてみますね。」
神田先生が光に靴をはかせはじめた。
私も手伝う。
その時、先生の手が私の手に触れた。
神「すいません。」
私はとっさに、手を離した。
私「こちらこそ、すいません。」
神田先生は、靴をはかせるのに必死だった。
神「よし、立たせてみましょう。」
光を支え立ちさせて、足を固定させた。
神「外反足も少し改善できるんじゃないかな?」
私「本当に、ちゃんと立っている。」
私は関心してしまった。
神田先生は、光を見ながら、話した。
神「僕、愛知出身なんですよ。北海道に来て五年目なんです。」
私「北海道人じゃないんですか?」
神「愛知で高校卒業して、札幌の大学に進学して、理学療法士になったんですよ。」
私は、先生が北海道の人ではないというのに、びっくりしてしまった。
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