ミルクティー

4/5
前へ
/18ページ
次へ
過ぎていくエンジン音。 千早は、彼が自分を庇ってくれた事を理解した。 この道は狭く、車も通りにくい場所なのだ。 「だいじょおぶ?」 低く、甘い声が千早の耳にするりと入り込んだ時、千早は我にかえった。 「ぁ。ぇっつ。」 「ぅん?」 言葉にならない単語を喘ぐようにもらす千早に、青年は微笑み相槌をうつ。 見上げた先にある柔らかい微笑。 幼子を相手にするような調子だ。 顔が熱くなり、頭がくらくらする。 (千早さんってクールで格好良いよね) って言われているいつもの私、もどって来い! 「ぁりがとうございました。」 やっとお礼を口にできた千早。 未だにに支えてくれている青年から離れようとするが、彼は腕の力を緩めない。 「もう、平気なんですけど。」 いつもの調子が戻ってきて、つい可愛くない言い方になってしまう。 それでも彼は微笑を崩さない。 「いつも、この道で会うね。」 「っ!私のこと知ってたんですか!?」 青年が自分を知っていたことに少しの喜びを覚え声が大きくなる。 「うん。かわいいなっていつも見てた。」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

175人が本棚に入れています
本棚に追加