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青年の言葉の意味を理解するのに時間がかかった。
「は?」
気付けば、彼の腕の中のまま壁が背後にあった。
状況が理解できない。
だけど、彼がどうしようもなく「男」なのだということがわかった。
細身だと思っていた彼は、私を支えられる程の力を持っていて。
呆然としている千早の顎を持ち上げる指は節くれだっていて。
合わされた目は、優しい色と同時に他の色も持っていて。
「ねぇ、キスしてもいい?」
低く甘い声は、こんなにも千早を追い詰める。
彼の吐息が、千早のくちびるに触れた。
次の瞬間、
千早のくちびるは、彼のそれに塞がれていた。
優しいくちづけは、ミルクティーの味がした。
抵抗できないまま、千早はゆっくりと目を閉じた。
キスする前に、まるて秘密を打ち明けるように小さな声で彼は呟いていた。
「千早、俺と付き合おうか。」
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