ミルクティー

5/5
前へ
/18ページ
次へ
青年の言葉の意味を理解するのに時間がかかった。 「は?」 気付けば、彼の腕の中のまま壁が背後にあった。 状況が理解できない。 だけど、彼がどうしようもなく「男」なのだということがわかった。 細身だと思っていた彼は、私を支えられる程の力を持っていて。 呆然としている千早の顎を持ち上げる指は節くれだっていて。 合わされた目は、優しい色と同時に他の色も持っていて。 「ねぇ、キスしてもいい?」 低く甘い声は、こんなにも千早を追い詰める。 彼の吐息が、千早のくちびるに触れた。 次の瞬間、 千早のくちびるは、彼のそれに塞がれていた。 優しいくちづけは、ミルクティーの味がした。 抵抗できないまま、千早はゆっくりと目を閉じた。 キスする前に、まるて秘密を打ち明けるように小さな声で彼は呟いていた。 「千早、俺と付き合おうか。」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

175人が本棚に入れています
本棚に追加