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泣きたくなった
今この場で泣いても、この雨が誤魔化してくれるだろうか
そんな時に
差し出された手と共に
彼女の【声】が頭の中に入ってきたんだ
大丈夫？
そう、彼女は【“言った”】んだ
∞
僕―
武藤 自由（むとう みゆ）は
いつだったか
小学生くらいの時かな？
そのくらいにさ
人の【心の声】が聞こえるようになったんだ
その人が考える、思っていることが僕の頭の中に入ってくる
何かきっかけがあったのかなんて全然覚えだせない
いつの間にか、そう、ホントにいつの間にか
誰も口を開けているわけでもないときに【声】が聞こえてくる
異変にどのくらいかかって気づいたのは分からないが、とにかく怖くなった
母親に相談したが気味悪がられた上に
『この子、おかしいのかしら』
と、【声】を聞かされ、直接…
「親として恥ずかしいから、友達とかにもそういう事言わないようにね？」
と、言い捨てられた
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